日本に暮らしていると、「給料が上がらない」「将来に不安がある」という声をよく耳にします。実際、日本の平均年収や年齢別の労働賃金は他の先進国と比べてどうなのでしょうか?
先日のYahoo!ニュース(2025年5/25(日) 11:22配信)から抜粋してみましょう。
国税庁の「令和5年分 民間給与実態統計調査」によると、年間を通じて勤務した給与所得者は合計で約5076万人(男性が約2887万人、女性が約2189万人)となっており、平均年収はおよそ460万円と報告されています。
平成26年の平均年収が421万円だったのに対し、その後は概ね増加傾向にあり、令和4年には400万円台後半となり、令和5年には460万円に達しました。
これは全年齢を通しての平均年収なので、実際年齢ごとに異なりはしますが日本の平均年収は少しずつ上がってきているようです。
それでも生活が楽になってきているという感覚は多くの人が少ないのではないでしょうか?
本記事では、アメリカ・ドイツ・イギリス・フランス・韓国といった主要国と日本の20代30代40代の平均年収賃金を比較して、日本の給与水準の現状とその背景をわかりやすく解説します!
20代30代40代の賃金を他国と比較して見えてくる現実
まずは日本の30代40代の平均年収から。
男性は年を追うごとに上がっていっていますが、女性は結婚出産育児(場合によっては旦那さんの転勤で退職や介護などの事情も)などに左右されることも多く、残念ながらなかなかキャリアアップ&収入アップできる人が少ない現実が見えてきますね。
【年代別】30代40代の平均的な日本の「年収」(令和5年分 民間給与実態統計調査より)
30〜34歳男性 | 492万円 | 30〜34歳女性 | 345万円 |
35〜39歳男性 | 556万円 | 35〜39歳女性 | 336万円 |
40〜44歳男性 | 612万円 | 40〜44歳女性 | 343万円 |
45〜49歳男性 | 653万円 | 45〜49歳女性 | 343万円 |
そして次です。以下の表は、日本を含む主要6カ国の「20代・30代・40代」の平均年収を円換算(1ドル=140円)で示したものです。(男女合わせてなので上のYahoo!ニュースで抜粋された金額と若干違いはあります)
【年齢別】 世界の平均「年収」比較(日本円換算)
年齢別:日本と世界の平均年収比較(円ベース)
国名 | 20代(円) | 30代(円) | 40代(円) |
---|---|---|---|
日本 | ¥3,640,000 | ¥4,760,000 | ¥5,740,000 |
アメリカ | ¥5,600,000 | ¥8,120,000 | ¥9,660,000 |
ドイツ | ¥5,180,000 | ¥7,560,000 | ¥8,820,000 |
イギリス | ¥4,900,000 | ¥7,140,000 | ¥8,400,000 |
フランス | ¥4,760,000 | ¥6,860,000 | ¥7,980,000 |
韓国 | ¥4,480,000 | ¥6,300,000 | ¥7,420,000 |
日本の賃金は20代・30代・40代いずれの層でも他国よりも低い水準であることが分かりますよね。。
特にアメリカとの差は顕著で、40代では約$28,000(約400万円近く)もの開きがあります。日本は年齢が上がるほど昇給する「年功序列型」の賃金体系が特徴ですが、それでもハッキリ言って伸び幅が他国より控えめです。
なぜ日本の労働賃金は他国より低い?
ではなぜ日本の労働賃金が他国より低いのでしょう?こんな理由があるのではないでしょうか。
1. 経済の停滞と物価の安定
1990年代から続くデフレや低成長(いわゆる「失われた30年」)により、賃金の伸びが鈍化していました。その流れもあって企業は大幅な賃上げに慎重になっています。加えて、物価が長く安定していたため、「給料が増えなくても生活できる」という意識もありました。
それでも年功序列型賃金があったから「いつかは昇級&給与アップできる」ことを約束されていて、がんばれていたんですね。
しかし現在、物価がどんどん上昇。しかも役職者が上にたくさんいるので、なかなか若手が昇進も給与アップしないという自体に。。なかなか企業体制は変えられないのもあって、後に残るのは時代に則さない給料体制というわけです。
2. 雇用形態の変化(非正規雇用の増加)
非正規雇用(パート・契約社員・派遣社員など)の比率が増えたことで、平均年収が引き下げられる傾向も影響しています。
3. 投資より内部留保重視の企業体質
アメリカなどでは利益を人材や技術に投資する傾向が強い一方で、日本企業は「内部留保」を優先するケースも少なくありません。
結果、頑張っても給料は上がらないので、働く人のモチベーションもダウン。パフォーマンスも上がらないという悪循環に繋がるのですが。。
4. 為替の影響
ただ、円安が進むと、ドルなど外貨ベースでみると日本の賃金が相対的に低く見えるという側面があるため、実際の賃金と生活水準が他国に比べて低いわけではありません。
日本の賃金水準を上げるにはどうすればいいの?
政府は日本の賃金水準を上げるように企業に働きかけてますよね。
でも日本は「さあ!みんなの生活費が足らなくなってきているから、給料を一斉に上げて下さい!」と政府が命令して企業が水準をあげられる国ではありません。もちろん政府による最低賃金の引き上げや税制改革はバックに必要ですが。
日本の賃金水準を底上げするには、少なくとも以下のような取り組みが各企業に必要でしょう。
1. 若い世代の給与水準向上(ジョブ型雇用や成果報酬型の導入など)
採用後に職務を割り当てる「メンバーシップ型雇用」ではなく、最初から特定スキルや資格を持つ人を採用することで若手でも能力に応じた給与を期待できます。「若手=給与が低い」ではなくその人の能力次第では若くして高収入も見込める流れです。
2. 無駄をなくして労働力をハイパフォーマンスに!仕事の生産性向上による企業収益自体の増加。
昔から日本で慣習として残された「無駄な制度」を無くして、もっと生産性を向上させます。
例えば海外で商談がある時のお話。日本から役職者含めて複数人で訪れて外国の企業の担当者と相談しました。それなのに「では決定は日本帰国後に社内稟議します」とかになることがあるそうです。
「何のために役職者と数人で来てるんだよ!」と外国人担当者から見れば無駄だらけです。
上司の承認はある程度必要ですが、スピード感も必要ですし、何より高給取りの上司が何人もいることで無駄に人件費がかかってます。
内部統制として内容に間違いがないか確認するルールを明確化するのは企業として大切ですが、承認作業のやりすぎは無駄でしかありません。
3.副業制度の整備。会社に頼らず副業で貯蓄を増やす。
それぞれの会社で給与をあげるのは難しくても物価はどんどん上がっています。副業を認める企業も増えてきました。土日だけでできる仕事、単発の仕事、在宅ワークの仕事、色々な幅が広がってきたのを感じますよね。
本職で給与が上がらなくても、自分で副業をすることで生涯年収をあげていくのも大切な時代になってきたと感じます。政府も年金だけで老後を賄えないので「老後の30年間で約2,000万円資金が不足する」と発表していますし。。
20代から40代のうちに副業をしておくことで、老後に働ける場所の可能性を広げることもできます。私も本職だけではなく副業持ちですが、収入にプラスしていざとなった時に働ける場所があるという安心感も得られていると感じていますよ!
4.個人のスキルアップ&キャリアアップがしやすい環境整備
企業内でスキルアップ&給与アップしやすいような研修制度や試験などの環境を用意することで、個人の努力が身になりモチベーションも上がります。
実力が正当に評価される環境は、やる気のある人にとってとても重要!会社への愛着も高まりますしね。
それが結果的に本来の労働力アップ&生産性アップにつながります。
個人個人の「無理やりな頑張り」に頼った企業努力は、いつか無理が出てしまいます。
5.転職によるキャリアアップ&給与アップ
個人個人が転職によるキャリアアップ&給与アップをしていく意識も大切だと思います。
・リクルートエージェント
→ リクルートが運営するハイクラス求人特化の転職エージェント。20代後半~40代の人におすすめ。実際に利用して一番求人を紹介してくれた。総合型なのであらゆる業種・職種をカバー。特に都市部のITベンチャーに強い傾向。
・マイナビエージェント
→20代、30代に特に力を入れているマイナビエージェント。若手でこれからのキャリア全般をまず相談したい人にはぜひお勧めしたいエージェント。
・ランスタッド
→ ハイクラス求人に完全特化した転職エージェント。高年収求人を取り扱っているので、キャリアアップを目指す人におすすめ。
・ビズリーチ
→TV CMでおなじみのビズリーチ。スカウト型転職サービスなので、登録するだけでヘッドハンターや企業からの直オファーがガンガン来る。年収600万円以上のミドル〜ハイクラス転職向けと合って、総合商社の中途求人は結構オファーあり。取りこぼしなく、商社の優良求人の紹介を受けるなら登録マスト。(3ヶ月以降は有料アカウントではないと、ヘッドハンターからスカウトもらえないので、3ヶ月以内に転職終わらせることをおすすめ)
まとめ
世界と比較して、残念ながら日本の労働賃金は確かに低水準です。特に20代〜40代の働き盛り世代にとっては、生活の安定や将来設計に直結する重要な問題です。
ニュースで見ましたが、給料が低い事で結婚や子供を持つことを不安に思う若者も多いそう。こんな状態が続けば、日本の労働力は今後さらに低下していっちゃいますよね。
一人ひとりが正しい情報を持ち、企業・政府・社会全体でこの課題にどう向き合っていくかが、今後の日本経済にとって大きな鍵になるといっても過言ではありません。
だからこそ個人個人が自分のキャリアについてや、働き方について考えたり、子供に生きる力をつけることを教えていくことはとても大事なことだと思います。